Faded / Alan Walker|歌のないインストから生まれた、40 億回再生のアンセム

Faded / Alan Walker

始まりは、10 代の宅録少年が YouTube に上げた歌のないインスト。「歌が聞こえてきそう」という声に応えて、ボーカルを乗せて作り直したのがこの曲。公式 MV は YouTube で 40 億回再生を超えた(2026 年 10 月時点)。冷たいのに、どこか温かい。2010 年代の EDM を思い出すなら、まずこの 1 曲。

Track Data|BPM・Key・Release

アーティストAlan Walker(ボーカル: Iselin Solheim。配信のアーティスト表記は Alan Walker のみ)
リリース2015 年 12 月 3 日(シングル。レーベルは MER Musikk/配信の表記は Kreatell Music・Sony Music Entertainment Sweden)
ジャンルEDM(Apple Music の分類は「ダンス」)
BPM90(180 と表示する情報源もある。半分・倍の関係)
キーE♭ マイナー(Camelot 2A)。F♯(G♭)メジャー(2B)と表記されることもある(同じ音を使う平行調)
収録シングル「Faded」(2015)、1st アルバム『Different World』(2018)

Producer Profile|Alan Walker という人

Alan Walker。1997 年、イギリス生まれ。2 歳からノルウェーのベルゲンで育った。2012 年ごろ、YouTube のチュートリアルを見ながら FL Studio で曲作りを始めたらしい。最初は「DJ Walkzz」名義。

トレードマークは、フードとマスク。顔を出さないスタイルで、ファンは自分たちを「Walkers」と呼ぶ。音は、ピアノとシンセのメロディが前に出る、哀愁のある EDM。

Origin Story|Fade から Faded へ

The Demo|生まれたきっかけ

前身は 2014 年に著作権フリー音源のレーベル NoCopyrightSounds(NCS)から出たインスト「Fade」。ゲーム好きのコミュニティを中心に、口コミで広がった。

「この曲、歌詞がありそうなのに言葉がない」。そんな声を受けて、歌を乗せる形で作り直したのが Faded。曲作りには Alan Walker のほか、Jesper Borgen、Anders Frøen、マネージャーの Gunnar Greve が加わった。歌うのはノルウェーのシンガーソングライター、Iselin Solheim。

By the Numbers

  • YouTube: 公式 MV が 40 億回超(2026 年 10 月 3 日時点、公式チャンネルの表示で約 40.4 億回)。10 億回到達は 2017 年 3 月で、ノルウェーのアーティストとして初めて。
  • Spotify: 2019 年 4 月に 10 億回再生。ノルウェーのアーティストのオリジナル曲として初めて。
  • チャート: ノルウェー(VG-lista)で 1 位、ドイツで 10 週 1 位(2016 年の年間 1 位)。フランス、スウェーデンなどでも 1 位。イギリス 7 位、アメリカ(Billboard Hot 100)80 位。
  • 賞: ノルウェーの音楽賞 Spellemannprisen で「今年の曲」。

Alt Versions & Remixes

  • Faded(Restrung): 2016 年 2 月。ピアノとストリングスと歌で聴かせる別バージョン。
  • 公式リミックス集: 2016 年 4 月。Tiësto、Dash Berlin、Tungevaag & Raaban、Y&V ほか。
  • Faded(Interlude): アルバム『Different World』の最後で、Faded の前に置かれた短い曲。

MV のロケ地はエストニア。首都タリンの「リンナハル」や、ルンムの採石場跡など、使われなくなった場所で撮られた。

Theme|何を歌っているか

本人はこの曲を「楽しいのにエモーショナルな曲」と説明していて、沈んだ気分のときにも、気持ちを上げたいときにも合うという。冷たい音なのに、どこか温かい。その両方が同時に鳴っているのが、この曲らしさだと思う。

公式 MV が描くのは、大きな災厄のあとの世界。マスクの青年がひとり、生き残った人と自分の家を探して、人のいない場所を歩き続ける。見失ったものを探す心細さと、それでも前に進む気持ち。曲の空気と映像が、同じ方向を向いている。

Behind the Decks|DJ 目線

Intro / Outro & Phrasing

  • 配信の Faded は 3 分 32 秒のラジオ尺。DJ 用の長いイントロ・アウトロは付いていない。
  • 流れは、静かなイントロ → 歌(ブレイク)→ ビルドアップ → Fade ゆずりのリードシンセのドロップ、が基本。歌の後ろでピアノとパッドが鳴っていて、ドロップは歌よりメロディで聴かせるタイプ。
  • 尺が短いので、頭から入れるなら前の曲のアウトロに長めにかぶせるより、ブレイクでいったん落としてから切り替える方が自然っぽい。

Mix Candidates|Camelot 2A 周辺

曲BPM/キー理由
Fade / Alan Walker180(=90)/F♯ メジャー(2B)(SongBPM・Tunebat)前身のインスト。同じメロディ・同じキーで、元ネタから答え合わせのようにつなげる
Faded(Restrung)/ Alan Walker180(=90)/F♯(G♭)(SongBPM)同じ曲のアコースティック版。クロージングの締めに
Sing Me to Sleep / Alan Walker176(=88)/E マイナー(9A)(Tunebat・SongBPM)同じ Iselin Solheim の歌、BPM もほぼ同じ。ただしキーは離れているので、ブレイクで切り替える
Faded(Dash Berlin Remix)128/F♯ メジャー(2B)(Tunebat)4 つ打ちのハウスのセットに入れるならリミックスで
Alone / Alan Walker97/B♭(SongBPM)次の年のシングル。同じ世界観。BPM が少し速いので、つなぐならブレイクで切り替える

Faded のキーは E♭ マイナー(2A)と F♯ メジャー(2B)で表記が分かれる。この 2 つは同じ音を使う平行調なので、どちらで見ても 2A/2B/1A/3A あたりの曲とは合わせやすい。BPM は 90 として扱うか 180 として扱うかで、合わせる相手が変わる。

Set Position|セットのどこで使う

  • 4 つ打ちのセットの中では BPM が合わないので、テンポを落とす「休憩」の場面か、オープニング・クロージング向き。
  • イベントの最後の 1 曲。みんなが知っていて、歌える。

The Drop

歌が終わってリードシンセが入るドロップ。あのメロディが鳴った瞬間に、フロアの空気が変わるタイプの曲。

Listen